午堂登紀雄

私たちは、親や学校の先生から、「まじめに働くことが大事だ」と教わって生きてきました。もちろん、人生のある一定の時期はそういう姿勢が必要な場合もあります。私もそう信じています。 しかしこれからの時代、何も考えずに、ただ「まじめに働く」という姿勢では、誰かがつくったシステムに取り込まれて利用され続けるということを意味します。たとえば正社員は、政府の徴税システムにがっつりと組み込まれ、容赦なく天引きされてしまいます。将来は天引きだけで収入の半分くらいに達しそうな勢いです。事業家とは異なり、そこにコントロールの余地はほとんどありません。 それでも、充実した仕事と、ある程度の収入に恵まれれば問題ないでしょう。 しかしサラリーマンは、会社や上司から仕事が与えられて、それをこなすよう要求されます。この商品をいくつ売れ、この作業を今日中に終わらせろ、来週の会議の資料を作れ……。会社がつくった目標に合わせて自分の目標も設定させられ、それを達成し、給料やボーナスをもらう。もちろん会社員である以上、多少はやむを得ないことです。しかし、そこに自分の戦略を組み込まない働き方は、「使いやすい労働力」として、利用されるだけの人になってしまうかもしれません。 いまの時代、まじめに働かなくても稼げます。実際、最近の20代、30代の若手起業家と話をすると、「自分が労働システムに組み込まれるのは無能の証し」という価値観があるようです。